アレルギーや過敏症等

自分自身もしくは家族(特に子供)がアレルギーであるがゆえに、毎日の生活に大きな不自由を感じている人、やりたいことをあきらめている人がたくさんいます。アレルギーや過敏症等への理解を深め、アシストできるようにすることが大切ではないでしょうか。

アシストの必要なアレルギー等の種類

ここではアレルギーだけでなく、アレルギー以外の疾患及び症候群についてもまとめて紹介します。
内容は環境アレルギーアドバイザー試験公式テキストから抜粋しました。
環境アレルギーアドバイザー試験は日本環境保健機構が実施しています。

最新のアレルギーについての研究成果がわかりやすく記述されているのは、国立成育医療研究センターの斎藤博久先生の著書「Q&Aでよくわかるアレルギーのしくみーアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症、気管支ぜんそくの最新科学ー」です。

①食物アレルギー

日本小児アレルギー学会『食物アレルギー診療ガイドライン2012』では、食物アレルギーとは「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義されています。
本来、異物から自分の体を守るための免疫反応が、体にとって必要な栄養となる食物に対して、過剰に働くことで起こります。
原因食物は多岐にわたり、加工食品に原材料として使用した際に、表示が義務付けられる食品(特定原材料)7品目、表示を推奨する食品20品目があります。
食物アレルギーの多くは消化能力が未熟で食べ物を異物として認識する可能性が高い乳幼児に発症します。 
しかし最近は、生活環境の変化や食生活の影響から各年齢層に発症しています。
アレルギー症状として、じんましんや腹痛、嘔吐など様々な症状が同時に生じ、急激に悪化していく状態をアナフィラキシーと呼び、特に呼吸困難、血圧が下がる、意識を失うなどのショック状態を引き起こす反応=アナフィラキシーショックでは、命を失うこともあり、大変危険です。

 

②アトピー性皮膚炎等

アトピー性皮膚炎はアレルギーに対する遺伝性要因のある人に起こる慢性的な皮膚の湿疹、皮膚炎のことをいいます。大半は乳幼児期に発症して、成人前に治るケースが大半ですが、最近ではそうでない人、成人になってから発症する人も増えてきています。
アレルゲンは人それぞれ違い、原因も特定が難しいのですが、
ダニ、ペットの毛・フケ・唾液、細菌、カビ、花粉、食べ物(食品添加物を含む)、たばこの煙、掻くこと、汗、汚れ、日光、乾燥、石けん、ボディーソープ、シャンプー・リンス、化粧品、整髪料、衣類、ストレスなどが主な要因とされています。

③小児喘息

小児喘息の多くは、アレルゲンの特定ができるアトピー型で、約9割は6歳までに発症するといわれます。
乳児は自分の症状を訴えることができず、発作を起こしても気づかないこともあります。表情や鳴き声などにも注意して、発作を見逃さないことが重要です。
ダニ、ペットの毛・フケ・唾液、細菌、カビ、ウィルス、花粉、食べ物(食品添加物を含む)、薬物(アスピリンなど)、たばこの煙、花火や線香の煙、たき火、大気汚染(二酸化硫黄、PM2.5、黄砂など)、室内空気汚染物質、ストレス、天候(台風が来る前や雨が降る前の気圧の変化など、秋冬の冷たい空気)などが主な要因とされています。

④シックハウス症候群

建材、家具などから発生するホルムアルデヒドや揮発性有機化合物によって室内が汚染されている状態の家の居住者が目やのどの痛み、頭痛、倦怠感、イライラなどが生じることをいいます。
建材、家具から揮発する化学物質以外に、防虫剤、芳香剤、化粧品、ストーブ、たばこなどから揮発する化学物質、換気不足、ダニ・カビ、アレルギー体質などが主な要因とされています。

⑤化学物質過敏症

化学物質過敏症とシックハウス症候群とはイコールではありません。
厚生労働省のガイドライン値以上の室内で起こる諸症状がシックハウス症候群であり、ガイドライン値以下でも発症するものが化学物質過敏症です。

アレルギー疾患の罹患者数

厚生省より平成23年8月に、リウマチ・アレルギー対策委員会報告書が発表されており、その中にこういった記載があります。
2008年の全国小児喘息の有症率は、6~7歳で13.8%。13~14歳で9.5%、16-18歳で8.3%であった。
また幼稚園児での喘鳴有症率は19.9%であった。さらに成人において、2006年における全国11箇所における有病率調査では成人喘息有病率(医師により診断された喘息)は5.4%、最近1年間の喘鳴症状のある喘息有症率は9.4%であった。
また同時調査での全国一般住民における鼻アレルギー症状を有する(花粉症を含む)頻度は47.2%であることも判明した(以上、厚生労働科学研究赤澤班 2010報告書)。
またアトピー性皮膚炎は4ヶ月から6歳では12%前後認め、成人のアトピー性皮膚炎も20~30歳代で9%前後の頻度で認められることが明らかとなっている(アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008)。
これらの結果は、わが国の全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していることを示している。
これは近年の国民の約3人に1人がアレルギー疾患に罹患している状態よりもさらに急速に増加していることを示している。
この増加の主体はアレルギー性鼻炎(花粉症を含む)と喘息の増加によると考えられている。

災害時のこどものアレルギー疾患対応

日本小児アレルギー学会が作成したパンフレットがあります。小児喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーのこどもをお世話される方々へ、こどもたちへの配慮のお願い(周囲の方々へ)、(行政の方々へ)に分けて紹介されています。