波瀾だった過去64 葛藤の一週間
挨拶周りや受注など
車であちこち駆け巡りながら
営業の仕事を楽しくこなしていた
帰りが遅くなることが多いので
母には相変わらず
子守のバイト代として7万円
食費を6万円を支払っていた
家賃105000円と光熱費をあわせ
営業とはいえ全然足りない
”頑張ればどうにかなる!”
自分で選んだ道を後悔したくなくて
私は必死で頑張った
付き合っていた彼は
相変わらず転職を繰り返し
3ヶ月として同じ職場で続かず
面接が趣味なのか?というくらい
年中面接しては転職していた
自分が普通の生活を送り始め
頑張っていたこともあり
そんな彼に何の癒しも支えも感じなくなっていた
”子供たちを遊びに連れていくのは
私ひとりでもできる”
遊びに連れてってくれるというだけで
尊敬心も全くない彼と
付き合いを続けていた関係に
私は終止符を打った
色々なものを断捨離したような
そんな気分だった
そんな毎日を過ごす中で
当時ミクシィが流行っていて
私はひょんな縁から
地元の同級生と繋がり
10数年ぶりにレゲエのCLUBに行き始めた
同級生がサウンドマン(レゲエをかけるDJのような人)
をやっている縁から
CLUB仲間や友人が一気に増え
気分転換に同級生のイベントなどで
毎週CLUBに行くようになった
元々ディスコやライブなど
音が大好きな私は
久しぶりに大好きな趣味が復活し
そこで友達も一気に増え
毎日が充実しはじめた(気がしてた)
同じシングルマザーで
レゲエのCLUBに行くのを楽しみに頑張ってる子や
普通に会社員で毎週楽しみに来てる人や
事業をやってる人なんかもいて
18歳から同年代まで
それはそれは幅広い友達ができた
たまに公園で野外イベントがあると
子供たちを連れて行ったり
普段は仕事を頑張りながら
週末は子供たちと遊び
時々CLUBで趣味を堪能する
そんな日々を送っていた
お酒は飲まないのでお水だけど
その時間が私には唯一の発散だった
そんな毎日だったが
現実的には金銭的な悩みが
常に私の中に渦巻いている
夜の仕事を辞め
念願の昼間の仕事に就いたものの
夜の時のチップや臨時収入も当然だが無くなって
母に渡すお金のプレッシャーは
日増しに大きくなっていく
減額を相談しても
「じゃ、もう来ないよ!」
と機嫌を損ねられる
それを言われると
残業や出張がある今の営業の仕事なんて
もうできなくなる
家賃と母に渡すお金と食費と光熱費を入れたら
黙っていても固定費として
26万円は最低でも出て行く
たまに入る子供の手当を入れても
手取りで25万円満たないその仕事で
どう考えても難しい状況だった
昼間の仕事に変えたら
母も少しは減額に応じてくれるかと思っていたが
そんなのは勝手な期待に過ぎず
どんどん私の中で
お金のプレッシャーが大きくなる一方だった
そんなある日
お店のお客さんで
たまに呼んでくれてた方から
突然電話が来た
「お店辞めたんだね、
食事でも行かないかい」
年齢は70歳くらいだったかな
白髪でオシャレなおじいさんという感じの方で
その方からの突然の電話に
私はびっくりした
お店にいた時に
食事の誘いを受けたことはなかったし
電話も来たことなかったからだ
だけどお店では
ママからも女の子からも
みんなから慕われてた
常連のお客さんで
私は躊躇することなく
喜んで出かけた
横浜のロイヤルパークホテルにある
高級鉄板焼のお店に連れてっていただいて
私は久しぶりの高級な食事に
頑張ってるご褒美なんだ♫とばかりに
ウキウキだった
食事を終え
店内のバーコーナーに移った時
それまで笑いながら談笑していたのが
急に真剣な空気になった
「彼女にならない?」
まさかと思った
お店ではそんな素ぶりを
私はもちろん誰にも見せない
気のいい優しいおじいさん
という感じのこの方から
そんな誘いが出るなんて
想像もしてなかったから
「月30万円でどうかな?
週一回会えたら」
戸惑う私にその方は続けて言った
「毎週会った時に8万円渡すから
週に一回くらいデートしてくれたら」
その申し出に
私はすぐに断ることができなかった
仕事は楽しいし
趣味も子育ても楽しいけど
唯一お金の不安だけが
私に大きくのしかかっていた頃だけに
私はこの時
すぐ断ることができなかったのだ
それにおじいさんだけど
この方は本当に優しい人柄の方
これがイヤなおじさんとかなら
それまで同様すぐに断ったかもしれないけど
お店でもみんなから慕われてたその方の申し出に
笑顔でごまかすことしかできなかった
「来週また会おう」
一週間考える時間があることに
私はホッとしながら
家路についた
それはそれは悩みに悩んだ
”人としては好きな方だけど・・・”
”だけど・・・”
悩み続けてる間も
光熱費やら請求書が届く
その一週間
葛藤だけが私の心に渦巻いていた
そして
そう簡単に答えなんか出ないまま
一週間後
私はその方と会うことにした