波瀾だった過去・29(精神分裂症、新しい出会い)
- 地獄のような彼との生活から脱し
人生をもう一度強くやり直して生きて行こうと
自分への約束のために刺青を入れ
手を出すこともないとっても親切な男友達の家に居候になり
新しい生活をスタートした22歳。
元々ジュリアナ好きで、
当時の飯島愛のようなメイクやファッションをしていた私は
友達の紹介で昼間は日焼けサロンでバイトをし、
夜はキャバクラの仕事で毎日充実した生活を送っていた。
ただ、心はどこか壊れたままだったと今になって思う。
指名1位~2位を毎月取り
女の子みんな仲がいいはずだし
お客さんもいい人ばかりなのに
みんなから嫌われているような気がしてならなくて
全員に嫌われている不安と恐怖が毎日襲うようになった。
信頼出来るのは居候をさせてくれてる男友達と
以前同じお店に勤めていて辞めてしまった、もうひとり女友達くらい。
この友達は私が人生で生まれて初めて
人の心に触れた子だった。
ハタチでこのキャバクラに入ったとき
彼女も指定ランキングを争う人気者だったが
大の仲良しになり、毎朝お店の後近くのファミレスに行っては
何時間も語り合っていた、それまでに居ない心を開ける友達だった。
あるとき
「私ね、いっつも死にたいって思うんだ。
私が死んでも誰一人悲しむ人も泣く人も居ない。
そう思って今まで生きて来たんだ・・・」
そう彼女に、誰にも話したことの無い心の闇を打ち明けたことがあった。
窓の外に見えるビルを眺めながら
「あのビルから飛び降りて死んでも、私には誰も悲しむ人もいないんだって
そう思って生きてきたの・・・」
そう言って、ふと彼女に視線を戻したら、彼女は
「私が悲しむよ。。。」と
うっすら涙を浮かべてくれていた。
『こんな人がいるなんて・・・』
私にとって20年生きてきて初めて出来た本当の友達だった。
その彼女はお店を辞めてしまったが
他にそこそこ仲がいい子も居て
別にお店自体も楽しいはずなのに
何故だかみんなが敵に見えて仕方なくて
毎日働きながら
『今ここで私が自分の首を切り裂いたら、きっとみんな嘲笑って喜ぶんだろな・・・』
と、そんなことばかりを考えていた。
自分でも、何故そんな風に思うのかわからないのだけれど
みんなから嫌われているような気がして
自分が世の中で世界一不必要な人間に思えてならなくて
そんな自分を自分で殺してしまいたい・・・と
自殺願望とはまた違う不思議な感情と究極の被害妄想で
生きるのが苦しくてたまらなくなっていた。
DVの彼がきっかけで心が壊れてしまったのか
元々のアダルトチルドレンが原因なのかはわからない。
ただ、被害妄想がどんどん悪化していって
ふとたまたま打ち明けた友人から
精神科に行くよう勧められ
初めて精神科というところに行った。
心も感情もないようなドライな先生がそこにはいて
ただただ私の症状をヒアリングする。
医師とカウンセラーと話し、1~2時間経っただろうか
「精神分裂症」という初めて聞く言葉と、出されるお薬。
だけど、ちっとも良くなった気もしなければ
良くなる気配もしない。
無機質な診断に、ただそう感じた。
10代の時に現実逃避でドラッグをやっていた弱い心が顔を出し
『このクスリ飲んだら楽になるのかな?お酒と飲んだら飛べるかな?』
そんなことがちらつく。
『自分は精神病なんだ・・・』
変な安堵感と、『自分は壊れ物』という新たな劣等感。
この頃から、ディスコ好きな私のファッションも変貌していく。
元々両耳ひとつずつ空けていたピアスが、片方5個6個と増え
可愛い色のリップが「黒」の口紅に変わる。
読む本も「悪魔教」とか
そんなものばかり読むようになっていった。
理由は今でも全くわからないのだけれど、
きっと、かなり病んでいた(笑)
ちなみに、この頃までは幽霊なるものも
よく見かけたもので。。。
そりゃ、毎日「死にたい」とかそんなことばかり考えているんだから
波長が合って当然なのだけど
当時の自分にはそんなことは全くわからず
行くとこ行くとこで、よく見かけたり
一日に2度も3度も道ばたの花束に出くわすことなどしょっちゅうだった。
ただ「死にたい」ではなくて
みんなの前で首を切り裂いて死んだら・・・
みんなの前で血を噴き出しながら死んでいったら・・・
そんなことばかりを毎日妄想しながら仕事していた。
心が壊れて行くという過程は
本人も自覚しないまま進んで行くものなのだと
身を持って思う。