ユニバーサルな社会づくりに向けて、私たちも意識を変えていく時代へ
前回の東京オリンピックは戦後日本の躍進に大きく貢献しました。
2020年東京大会は日本が成熟するための新たなフェーズへのきっかけとなることが期待されています。
開催に向け、ユニバーサルな社会づくりへの動きも始まり、国が主導となった環境や制度が次々整っていくことは明らか。
それに伴い、私たち個人の意識も変えていかなくてはなりません。
ユニバーサルな意識や行動が当たり前になる時代は、もう目の前です。
2020年オリンピック・パラリンピック開催
オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典だけでなく、国際社会への メッセージ 発信の機会でもあります。
2012年のロンドンオリンピックは「五輪史上最も環境に配慮したグリーンな大会」として、国際規格 「ISO20121イベントの持続可能性に関するマネジメントシステム」の認証取得までしたほど。
今回の東京オリンピック・パラリンピックでは、科学技術力の活用を軸に「持続可能な社会」「安全・安心な社会」「高齢者・身体障害者に優しい社会」「おもてなしの国、日本」「皆がワクワクするオリンピック・パラリンピック」といったテーマが提示できると文部科学省は述べています。
なお、東京オリンピック・パラリンピック競技大会招致段階で作成した立候補ファイルでは、コンセプトの一つに「全ての人を差別なく社会に取り込み、障害者のニーズと興味に思いをはせることで、より良い世界を築き、社会全体により明るい未来をもたらすことができる、というメッセージをパラリンピック競技大会を通じて示すこと」と挙げられていました。
パラリンピックの開催によって、身体障害者やその家族たちと社会が、能動的にもっと深くつながるために必要な技術やサービスの開発が積極的にされれば、新たな市場が生まれ、生活背景の異なる多様な人々が共に人生の質を向上させることを示す良い機会ともいえるでしょう。
日本を訪れるインバウンドの状況
観光立国を目指し、「ビジット・ジャパンキャンペーン」が2003年に政府の旗振りでスタートして以来、10年目にしてようやく目標としていた年間の国際観光客到着数(以下インバウンド)1000万人を突破(日本政府観光局統計)しました。
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことやクールジャパン推進、また、このところの円安などにより、追風が吹いていることも事実です。
2015年には1973万7千人に達し、政府は東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、2020年のインバウンド目標値を一気にその倍である4000万人の大台へと引き掲げました。
障害者差別解消法を制定
障害者差別解消法は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成28年4月に施行されます。
法は、行政機関等及び事業者に対し、必要かつ合理的な配慮(以下「 合理的配慮 」という。)を行うことを求めています。
合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたもので、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組で、その実施に伴う負担が過重でないものを意味しています。
障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を行ってはならず、合理的配慮が求められています。
例えば、障害を理由にサービスの提供や入店を拒否してはいけません。
また、求めがあれば、店舗や施設といった受け入れ側は、筆談や読み上げなど、ちょっとした配慮をしなければなりません。
この法案制定は、国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環でもあります。条文は こちら をご覧ください。
地方創生がスタート
2014年9月3日、地方の人口減少・東京への一極集中・超高齢化といった、日本が直面している問題解決に向けた中長期ビジョンを策定する新組織「まち・ひと・しごと創生本部」を政府は設置しました。
各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生していく「地方創生」が目的。
これまでの支援策などに見られた画一な対応ではなく、自治体側から提案できる制度を設けたことが特徴です。
計画が認定されれば、同時に関連省庁所管の計画も認可するという仕組み。
これによって自治体への権限移譲や規制緩和がなされれば、地域の活性化や観光事業の創出にもつながると見られています。