第2回

重度の障害者への対応

  • 8月2日羽田から青森にJALの飛行機に一緒に乗られる、重度の障害者である息子さん(20代)のお母様に取材させていただきました。

    ケア付きねぶた“じょっぱり隊”という、介護を必要とする障がい者にねぶたを体験していただく催しに参加するため、思い切って、飛行機を今回使用してみたそうです。
    前年は新幹線での参加したが、JALのサービスが丁寧だという話を聞き、今回JALの便を予約されたとのことです。
    息子さんにとってはじめての空の旅で、羽田空港までと青森空港からは介護タクシーを予約されました。

    「わかば」という頭部外傷等による重度後遺障がい者と家族の会に参加されていて、そこで知り合った方からJALがいいと教えていただいたそうです。

    事故に合ってから4年が経過、症状は少しずつしかよくなっていないそうですが、「あせらない、あきらめない」というのをモットーにしていらっしゃいます。

    いつの日か、再びしゃべったり、歩いたりできるようになったらいいなと思いました。
    お母様が多くの人の手を借りて、旅が実現されることに感謝したいと話されていたのが印象的でした。

普段の外出

  • 月に2、3回は外出するようにされているそうです。
    一番子どもが喜んだのは新宿のルミネtheよしもとで、前の端の方に車いす専用の席があるとのこと。
    地元市のコンサートホールにも車いす席があり、よく利用されるそうです。
    TOHOシネマズの映画もよく利用されるとのこと。

    外出の際にはエレベーターの場所を必ず事前にチェックされるそうです。車いす用トイレも下見されますが、男女用と別にトイレが独立していないと使えないので、困ることがあるそうです。新幹線以外の電車にはまだ乗ったことがなく、車を利用することが多いとのこと。

    外出していて気になるのは、人の目線とポールだそうです。
    子どもはある意味、残酷。動物園など子ども多いところには行きたくないとおっしゃっていました。
    また、せっかくの遊歩道でも、狭いところの真ん中にポールがあったりすると、それだけで車いすが進めない。
    せっかく車が来ない遊歩道があっても、そこに行く手前にポールがあったりするのは、本当にがっかりされるそうです。
    そのほか、直線のスロープはいいが、切り返しの多いスロープは車いすの通行に不適だそうです。
    なるほどと思いました。

    今後はバリアフリーの宿などを事前に調べて、泊りがけの旅行に行きたいと思うとのこと。
    沖縄や伊勢志摩など、バリアフリーツアーセンターに相談できることをお教えしたら、とても喜んでいただきました。

当日の飛行機に乗るまでの流れ

  • スマイルサポートカウンターで搭乗券の発行などご搭乗手続き後、スペースの奥にある応接室で胃瘻をされて、それから今回のインタビューをさせていただきました。

  • 普段使いの車いすのまま、隣の保安検査場で金属探知機と手荷物のX線検査をして、搭乗口まで空港係員がご案内。

  • 搭乗口では事前改札で機内へご案内。飛行機入口のすぐ手前で、係員2から3名のサポートにより普段使いの車椅子から、機内用の車椅子に乗り換えました。
    普段使いの車椅子はビニールで軽く梱包します。

  • 階段で屋外に出し、2人の係員が手で運び、ベルトローダーを使用して、飛行機の貨物室に搭載します。
    今回は機内にも入ることができるフルリクライニング型の車椅子で座席までご案内し、座席に移乗していただきます。
    座位保持が困難なお客さまには上体固定用ベルトの貸し出しがあります。
    お客さまの上体(胸のあたり)と座席の背もたれを上体固定用補助ベルトで固定し、座位保持をします。
    そこまでの対応がおわってから、一般乗客のお客さまを機内へご案内します。

    飛行機は前の便が到着してから50分程度で出発となるため、その間に清掃と出発準備をしてから、事前改札を行う必要があり、大変あわただしいものであることがよくわかりました。

    ※事前改札:お手伝いの必要なお客さまや妊娠中の方、お子さま連れの方を一般の改札前に機内へご案内します。

上体固定ベルト

  • 上体固定ベルトはフェルト素材でマジックテープにより脱着するものです。
    事前のお申込みが必要なので、早めにプライオリティ・ゲストセンターに連絡することをお勧めします。

    また普段使用している補助シートも機内で使用できる場合があるそうです。
    ただし、ご搭乗便の座席に装着可能かどうかはJALの専門部署に事前の確認が必要とのことですので、相談してみてはいかがでしょうか。