第74回


波瀾だった過去74(運命の出逢い)

この頃
母が長年付き合っていた人と
やっと籍を入れることになり
母自身がお金に少し余裕ができたからか
時折普通に遊びにくるようになっていた



私が忙しい時は
代わりにご飯を作ってくれたりして
なんだかんだと私のことを応援してくれた



私自身も
”お釈迦様のようになりたい”
という意識から
母とも少しでも仲良くできたらと
子供の頃の切なる願いではなく
一人の人間として
そうなれるように思い始めていた




”お釈迦様のようになりたい”という気持ちは
別に悟りたかったわけじゃない
と言ったら嘘になるかもしれないが
ただ、そうなれたら
その域までいけたら
もっと楽に生きていけると思ったのだ





なのでこの頃の私は
やけに慈悲にあふれていたと思う



ま、今振り返れば
そんなん表面的な慈悲で
心の底から無条件の愛が湧き出ていたわけでも
何でもないんだが笑





そんな時
ミクシィで入っていた
あるコミュニティのオフ会の告知に
ふと目がいった



それはその頃読んでいた
ある女性作家さんの
オフ会だった



女性版自己啓発とでもいうのだろうか

乙女感満載のその本は
とても読みやすくて
この頃よく読んでいたのだ



初対面の人ばかりの場は
大の苦手なのだが
きっとこの頃は
何かスイッチが入っていたというか
もしかしたら変わりたい気持ちから
アクティブな自分になっていたのだと思う



そういったオフ会に参加するなんて
それまでなかったのだが
その本の読者なら大丈夫かなという
勝手なイメージで
私は思い切って参加してみた





目黒雅叙園の
素敵なお部屋でのオフ会




そこには私と同じ年くらいの人もいたが
主催の子達はみんな10歳下で
意識の高そうな子達が3人ほどで主催していた



著者の親友という主催の子に
2〜3人のお友達が
お手伝いをしてるような感じ




20代半ばでも
みんなとっても意識が高く
それは本当に新鮮だった





その著者の方が勧めている
願いを叶えるための
文章の書き方なんかもレクチャーしてくれて
この頃の私には
本当に新鮮でワクワクな時間




主催側として手伝っていた2人が
私にとって
その後の人生を大きく変える
大きなご縁となる




ひとりは
スピリチュアルな活動をしているKちゃん

もうひとりは
今や有名人の
世界に影響を与えた100人に選ばれた
お片づけの彼女Mちゃん



このふたりと出会った会だった





オフ会後もこのふたりとは
ご縁が繋がって
Kちゃんとは色々なことを話す仲に

Mちゃんは
ちょうど勤めていた会社をやめて
お片づけでこれから独立するという時で
そんな話を色々聞いた




ふたりの話はとっても新鮮で
それまでスピリチュアルな世界は
興味はあっても
イマイチ理解ができない部分も多い私を
ちゃんと入り口に誘導してくれた
そんな出会いだった





そんな素敵なご縁に恵まれ
Kちゃんにはスピリチュアルを教えてもらい
Mちゃんにはお片づけを通して
ふたりからはお茶やランチのたびに
色々なことを教えてもらった




マリア様のように慈悲にあふれた自分になりたいと
そんな風にスピリチュアルや
色々な本質を学び始めたある日
お店でよくひとりで飲みにくる常連さんが
友達を連れてきた




お友達の方は初めてなので
代わる代わる女の子が席に着く



私も3〜4人目くらいで
その席に着くよう指示をされ
私はそのお友達の方の隣に座った




「いらっしゃいませ」



その人は
色々大変なことがあったらしく
元気がない様子で
下を向いたまま飲んでいた



「色々あって
こうして飲みに出るのも久しぶりで」



どうやら本当に大変なことがあって
最近飲みに出たりはしてなかったけど
親友の強い誘いを断れず
今日は久しぶりに飲んでいる
ということだった



連れて来た常連の方は
このお友達を励まし
気にしながらも
いつものようにお気に入りの子を隣に座らせ
豪快に飲んでいる




「こいつ元気ないから
楽しませてよ!!!」




長いこと夜の仕事はしてるが
私の場合盛り上げて楽しませるというより
根が真面目なこともあり
お客様と語りに入ってしまうことが多い





この時はそれに輪をかけ
”慈悲にあふれた自分でいたい”
という理念から
余計にこの方に対しても
楽しませるというより
慈悲の気持ちを送りながら
接客していたと思う(笑)





そんな気持ちで
他愛もない話をしていたら
その方は少し安心したのか
やっと顔をあげて私を見た





一瞬ハッとした顔をしたその人は
「お名前は?」
と照れ臭そうに聞いて来た



姿勢をただし
その方のほうに身体を向け
笑顔で
「沙織です!」


そう答えると
その人は初めて
安心したような顔をした







Kちゃん
Mちゃん
そしてこの人




私の人生を大きく変えた
運命の出逢いが始まった