波瀾だった過去・45(後悔)
妊娠をし、結婚することになり
私は受付の仕事を辞めた
母に勘当されたまま
運送業をしていたHくんと入籍をし
私は専業主婦となった
この頃はまだ、一日2箱以上
赤マルを吸うほど
かなりのヘビースモーカーで
妊娠してもタバコをなかなかやめられず
旦那さんとなった彼に
タバコを我慢するストレスの方が良くないかもと
毎朝仕事に行く前に5本だけ
タバコを置いていってもらっていた
5本のタバコを大切に吸い
しまいにはシケモクを吸うほどの
ヘビースモーカーだった(笑)
今、友人や家族にも
「タバコ吸ってる姿が想像つかない」
と言われるくらいだが
この頃は、パチスロもまだたまにしていた頃で
スロットで目押し(7とかを狙うこと)しながら
タバコをはしたなく吸うのは普通のことだった
が・・・
3ヶ月に入る頃に猛烈なツワリが襲い
私は2ヶ月間寝たきり状態となってしまった
タバコを吸いたいけれど
「今やっと吐き気が少し落ち着いたのに
ここで吸ったらまた吐くかも・・・」と
そんな想いで、気付けばタバコを吸えなくなっていた
お腹の赤ちゃんのおかげで
私はあれだけのヘビースモーカーだったのに
タバコをやめることができたのだ
頑張って近所のスーパーに行ってみるも
電信柱ごとに吐く状態
歩いて2〜3分のところにすら
外出することができないくらいの
重いツワリだった
そんな状態でも
旦那さんは優しく労ってくれることはなく
家事が思うようにできないことを
時折罵られることさえあった
そんな中で、当然だが徐々に
旦那さんとの不和が出て来る
「沙織ちゃんと付き合ったら
毎日でも肩をマッサージしてあげるのに」
という言葉が一体どこにいってしまったのか?
というくらい
釣った魚になんとやら
そんな状態になっていたのだ
決して暴力などがあるわけではない
仕事も真面目にやっている
けど、優しさというものは
彼からはもう見えなくなっていた
一言でいうなら
「無関心」
家に一緒に居ても
テレビを見て笑っているだけ
私の方を見ることも
私と向き合って話すこともない
新婚だけど
ロマンティックもなければ
ラブラブなんてもちろん全くなくて
すでに何年も一緒にいるような
そんな空気感
私が求めていた
「愛が欲しい」
は、満たされることない
新婚生活だった
妊娠6ヶ月が過ぎた頃
彼のご両親からの
「小さくても式だけは挙げた方がいい」
「お金は出すから、挙げなさい」
という説得で
地元の小さなホテルで
結婚式と披露宴を挙げることになった
私はただ
愛が欲しくて
家族が欲しくて
それで結婚したこともあり
結婚式とかウエディングドレスとか
そんなものには興味もなくて
披露宴でのお色直しなんかも
「別にウエディングドレスのままで良いです」
と、冴えない返答をしたくらいだった
だけどせっかく挙げることになった
そんな結婚式にも
もちろん母は出席なんかしてくれない
私には兄弟もいなければ
連絡をとってる親戚もいない
唯一、私を可愛がってくれていおばあちゃんも
この時は足を悪くして入院をしていた
友人以外、家族は誰ひとりもいないという
そんな披露宴だった
旦那さんの方は
地元の九州から大勢親戚も来て
ご両親からは披露宴の資金を全て出してもらっていて
もしかしたら旦那さんからしたら
何かしらの不満もあったのかもしれない
そんな披露宴の最中でさえ
私と彼には不和が生じていた
2人揃って入場し
席に着くまで歩く間
私はお腹も大きく
ドレスを着ているというのに
旦那さんはスタスタと
歩こうとする
「もっとゆっくり歩いてよ」
拍手喝采の入場中でも
幸せな気持ちはなく
そんな状態だった
お酒が好きだった彼は
披露宴の間ずっと
注がれるお酒を
嬉しそうに飲み干している始末
二次会でも
彼はベロンベロン
仲間もベロンベロン
私は張るお腹を労りながら
友人とそんな光景を苦笑いしつつ時間を過ごした
そんな風に二次会が終わって
みんなが外に出た頃
大きな罵声が聞こえてくる
”喧嘩?!”
よく見ると
喧嘩の人たちは
彼の同僚と飲み仲間だった
20代後半の30手前の男たちの怒号
まだ若いといえば若いが
もうみんな立派な社会人
喧嘩や酔っぱらいが元々好きではない私には
その光景はとてつもなく堪らないものだった
まして、今夜は私たちの結婚式
お祝いの日なのに喧嘩なんて
私は耐えられなかった
案の定、旦那さんは私をほったらかしで
その喧嘩に大声で怒鳴りながら仲裁に入っていった
仲裁なのか参戦なのか
酔っぱらっていてもはや分からない
が、怒鳴りながら止めに入っていて
10人近くが騒いでる修羅場になっていた
キャバクラ時代の女の子で
旦那さんのこともお客さんとして知っている友人が
「Hくん!!!!!やめて!!!!!」と
彼に詰め寄り腕を掴んだ
「Hくんがすることは沙織ちゃんを守ることでしょ!」
「お腹に赤ちゃんがいるんだよ!」
「今この状態で、Hくんがすることは
沙織ちゃんと赤ちゃんを守ることでしょ!!」
怖くて心臓がドキドキしていた私は
気付けば彼女のその言葉で涙を流していた
その彼女も泣きながら
止めに入ってくれていた
その姿を見て
”お祝いの場であるはずなのに
こんな喧嘩になって
友人にまでこんな想いをさせてしまって
私は何やってるんだ・・・
なんでこの人と結婚しちゃったんだろ”
この時初めて
はっきりと彼との結婚を後悔した
それまでモヤモヤとしていたものが
はっきりと後悔として私の中で形になった
”何かあったら、すぐ離婚しよう”
”その時は、この赤ちゃんを
一人で育ててでもやっていこう”
そんな風に決意した
結婚式の夜