アーキヤマデの防水工事

アーキヤマデ株式会社設計推進部東日本設計推進課専門官の宮下直久さんのへの2017年10月23日のヒアリングを元に、当方の判断でとりまとめました。(上坂)

防水の市場はJWMA(日本防水材料連合会)のもとに、防水工事の手法によって5つの工業会があります。
KRK(合成高分子ルーフィング工業会)、ARK(アスファルトルーフィング工業会)、NUK(日本ウレタン建材工業会)、FBK(FRP防水材工業会)、TRK(トーチ工法ルーフィング工業会)に分かれています。合計すると6000万から7000万平米になります。
工事における安全性と周辺への環境配慮の観点から比較すると、KRKのシート防水工法が最も優れています。

2015年の統計数字でみると、KRKが1931万平米、ARKが1412万平米、NUKが2040万平米、FBKが509万平米、TRKが423万平米となっており、ウレタン系が伸びているが、屋上防水で使われているのは6割程度なので、屋上防水で比較すると最も多いのはシート防水です。
アーキヤマデは約300万平米を出荷し、KRKの中の塩ビシートが1500万平米程度で、その中では1位か2位といったところです。
プレハブ住宅で使われる陸屋根の場合には、シート防水が大変多くなっています。
シート防水は屋根だけではなく、ベランダにも使われますが、形が複雑であったり、狭小部ゆえに施工性が悪い場合にはウレタン系が使われることが多いといえます。

化学物質過敏症の患者を対象に行われたあすぷろ調査では、発症のきっかけに自宅または近所の防水工事をあげた方が11%いました。建物ではシックハウス46%、自宅または近所の外壁塗装17%、シロアリ駆除15%、についで、健康被害が生じるものとなっています。
人口の10%が何らかの化学物質の強い臭気に敏感に反応し、健康被害を生じています。
強い臭気は避けた方が良いのです。但し、臭気が弱かったり、無いものでも、化学物質によって健康被害が生じる場合があります。

塗膜防水(ウレタン・FRP)では、硬化剤のMOCA、有機溶剤のクロロホルムほかが、新たにより強い規制対象となりましたが、施工時にはどうしても強い臭気が発生しますし、現場の職人が施工マニュアルを守らなかった場合には臭気が残ってしまう場合もあります。
マンションの大規模修繕でベランダの防水工事を行う場合には、工事から日数を置かずにベランダのサッシを開けることで、健康被害が生じることがあり、住民への厳重な注意喚起が必要です。
FRPでは真ん中にガラスクロスを使用するため、飛散粒子の吸い込みを防ぐため、重装備をしていることが多いです。

アスファルト防水は高温で熱する際に発生する臭気が健康被害を生んでいます。
従事する職人の平均年齢が50歳を超えており、若い職人に敬遠されている事情があります。
トーチ工法は改質アスファルトシートをトーチバーナーで溶着させる工法ですが、プライマー(下地の塗装)に有機溶剤を使用しているものもあり、臭気が発生します。
シート防水には合成ゴム系のシートと塩ビシートがあり、接着方法としては接着剤を主に使用する工法と機械的固定工法があります。
特に塩ビシート防水の機械的工法は材料に有害物質を含まない安全な工法といえます。
塩ビにも弱い臭いがありますが、1年間ほどで臭いがしなくなります。以前問題になったダイオキシンについては誤認識があり、その発生は塩ビなどを燃焼させることによるのではなく、燃焼条件に依存することが明らかになっています。
ダイオキシンの発生は1997年当時の1/150と大きく削減されています。

職人(親方中心の会社組織になっていることが多い)は工法ごとに分かれていて、防水業者が工法によって職人を使いわけています。

防水保証は10年ですが、シート防水では実際は15年から20年持ち、その間のメンテナンスは不要です。
ウレタン塗膜防水の場合にはトップコートの塗布が必要で、4~5年ごとの塗替えが必要となります。
高耐久シートの場合は30年、太陽光高反射シートも通常品に比較すると長持ちします。
シートの劣化は主として熱と紫外線によるからです。

日本ではアスファルトが最も歴史のある工法です。
近年は因習にとらわれず、ゼネコンでも新築・改築にかかわらず、採用が増えていますが、組織設計事務所や地方工務店では昔から使っているという理由で、いまだにアスファルトを使うケースが多く、残念ながら安全性や環境への影響を考慮して工法を選択していないのが実情です。

小田急電車の屋根が燃える事件が最近ありましたが、ウレタンでした。
難燃処理はしていましたが、燃え広がりました。電車は昔はアスファルト防水でしたが、火事による死亡事故があってから、シート防水が使用されるようになりました。
その後、屋根にはいろいろなものが乗っかっているので、施工のしやすさからウレタンに変わってきたという経緯があるのではと思われます。

防火地域・準防火地域の屋根においては、防水シート、外断熱材において、「火の粉により屋根が融け出したり、屋内に達する損傷が生じないこと」と「火の粉により屋根が炎を上げて燃えないこと」が求められています。
塩ビシートは自己消火性を有し、延焼しにくい材料です。
防耐火については、建築基準法告示1365号に定められており、屋根が耐火構造であることを条件に、勾配30度以下、断熱材が50mm以下であることが定められており、これ以外の条件については、別途飛び火試験が必要となります。